高額な制作費となるイメージがある動画制作。映像制作会社や広告会社から提示される金額を見て、その内訳が理解できない方も多いと思います。
そこで今回は、動画制作における見積もりの内訳。そして、費用を抑えるコツ。費用を抑えながらも品質(クオリティ)を損なわない依頼先選択についてご紹介します。
はじめに
以下は弊社のおおよその制作費感です。
規模感レベル | ジャンル | 内容 | 費用 |
SS | TVCM(全国規模) | 企画/タレント起用 | 1,000万円〜 |
S | TVCM(地域限定) | タレント無 | 300万円〜 |
A | WEB CM | ロケ企画物 | 200万円〜 |
B | WEB CM | スタジオ/1シチュエーション | 120万円〜 |
C | WEB PR | 店舗サービス紹介 | 50万円〜 |
D | セミナー/イベント | 記録/PR | 15万円〜 |
同じ映像制作でも内容物によって大きく費用感が変わってくることがわかります。
スタッフ数や撮影編集内容、撮影場所(スタジオ/ロケ)などの要素が加わることで大きく変動します。
格安を打ち出す企業も増えていますが、一定のクオリティを保証するためには、やはり上記価格表くらいの料金目安でいることをお勧めします。
では、これらの費用はどのような内訳なのでしょうか。
映像制作費の大半は人件費
映像制作費にはまず、人件費が入ってきます。
企画を実施に落とし込むプロデューサー・ディレクターを主とし、双方の間に入って制作費用・現場演出などの調整を行うプロダクションマネージャー。
そしてカメラマン・照明など様々な技術スタッフが必要となります。
(1)プロデューサー (2)ディレクター
(3)プロダクションマネージャー (4)カメラマン
(5)カメラアシスタント (6)照明技師
(7)照明助手 (8)録音技師
(9)録音助手 (10)美術
(11)スタイリスト(衣装) (12)メイク
(13)車両 (14)編集マン
(15)楽曲制作者 (16)出演者
(17)ナレーター など…。
一部の表記ではありますが、これらの各スタッフが最短で2週間、制作物に対して時間をかけて対応します。中には撮影当日だけの対応となるスタッフもいますが、17名以上の特殊技能を持った人員を2週間拘束すると、ある程度の金額になってしまいます。
また、各スタッフには過去の実績や成功率の高さに応じて雇用単価が上がっていきます。(スタッフそのもののスキルはタレント並の存在価値があります)
撮影に必要な機材費
撮影には、多くの機材が必要となります。
カメラ・レンズ・モニターなどの撮影機材から、商品や人物を美しく見せるための照明。その他ほぼ全てのスタッフが専門の機材を手に持って撮影に臨みます。
これらの機材は高額にも関わらず、技術の進化による流行り廃りがあるため、専門の撮影機材屋にてレンタルする場合が多いです。
機材屋を使用するメリットは、最新鋭の機材を安く使用できること。そして、機材のメンテナンスが行き届いており、安心して撮影に臨める点があります。
【本題】どのように価格を抑えるか
ここで本題です。価格を抑える核心はどこか。それは、最も費用がかかる人件費の部分です。
当社で推奨する方法は、役割を統合すること。
例えば、元々三役あった「撮影」「編集」「ディレクション」の項目を、「撮影、編集の出来るディレクター」と一つの役割にまとめます。
後述しますが、ここでディレクションだけではなく撮影・編集も可能なディレクターは一定のマルチスキルを習得しており、知見の高さからクオリティも期待できる可能性が高いです。
人員数が減ることにより費用総額を大幅に削減することが可能となります。
ここで気を付けて頂きたいのは、「役割における単価を抑える」ことではないこと。
映像業界は狭い業界です。実績のある人材は、高値でも仕事がどんどん入ってきます。人材単価を下げるのではなく、マルチスキルを持つ人材を増やし、役割の数を減らすことが大切です。
そうした工夫をもとに、場合によっては2人〜3人で案件を回すことも可能となります。
見積もり価格は抑えた。では、品質は?
上記の方法で価格を抑えることが出来ました。では、品質はどうでしょうか。
映像制作においての品質(クオリティ)は、ズバリ、人材の優秀さで決まります。そこで、一つの指針となる担当者の見分け方をご紹介します。
①過去に携わった案件の規模感(実績)
「10の規模感を知っている担当者が1の規模を作る」ことと「3の規模感を知っている担当者が1の規模を作る」ことは、意味が大きく変わってきます。
過去にどのような案件に携わってきた人物か確認しましょう。
気を付けて頂きたいのは、必ず、会社の実績ではなく、担当者の実績を確認することです。極端に言えば、会社の実績は対企業間の安心・保証でしか無く、制作物のクオリティ保証とは少し話が異なります。担当者そのものの実績を確認することで、制作物クオリティにおける安心感が変わってきます。
②マルチであるかどうか
私がアメリカに映画留学していた10数年前。当時アメリカでは、「映像制作が分業制と言えど、企画営業から配給に至るまで、全ての役割における理解と知識が無ければ生き残れない時代が来る」と言われていました。
web動画の台頭により、今まさにその時代が日本にも来ていると考えています。私見ではありますが、費用を抑える案件においては、映像制作においてマルチな技能・知識があるかが大切です。
現場経験のある営業と、現場経験の無い営業では、現場理解に大きな差が生じるように、企画から撮影・編集、広告展開まで包括的知識などマルチスキルを持つ担当者が理想です。
全ての工程を把握することで、制作単価におけるクオリティ保証が出来、費用/クオリティ双方の面で満足できる結果が出ると考えています。
③愛情があるか
最後は愛情の深さです。企業・商品・サービスなど依頼に対して愛情を感じる担当者が良いです。
よく「自分の表現したいこと」を優先して提案する制作者がいます。それらは、愛情の方向性が制作にあり、依頼主の制作目標に向かって進みきれていないのではないかと思います。
”制作して終わり”ではなく、”制作して視聴され、そして本来の制作目的を達成することがゴール”です。
依頼内容に対して、最終的なゴールを達成するためのロジカルな思考、目標達成に向けた適正なクリエイティブ提案が出来ているかを確認する必要があります。
さいごに
今回は、動画制作の見積もり・クオリティを担保するための依頼先選びをご紹介しました。
動画制作の見積もりは、案件の内容に応じて大きく変わってくるため、一括りに「どんな案件でも●●円で作ります!」と言えない歯がゆさがあります。クオリティを保証した上で、制作予算を叶える意味としては、「いくらを予算に、予算内で最高なものを作って欲しい」という依頼が最も効果的な方法なのかもしれないと、私は考えています。
弊社では全スタッフが動画制作のマルチスキルを持ったチーム編成で構成しています。
今後動画制作をご検討中の方は是非参考にして頂けると幸いです。
2019.5.22追記
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