本年に入り、「他社・知り合い方で制作したものの、クオリティが低すぎてどうしようもない」「引き継いで制作をお願いしたい」との連絡が急増しています。
本日は、最近急増している「映像クオリティに関する問題」を紹介致します。
はじめに。背景:映像制作者の質が変わってきた
あくまで私個人的な印象ですが、私がプロとして映像を始めた13年前と比べ、映像制作者の質が大きく変わってきたと感じています。
かつての映像は、TVもしくは映画館、限られた屋外ビジョンなど、映像そのものを放映する場所が限られていました。展開先に合わせ、「映画」・「TV」・「ミュージックビデオ」・「CM」などのジャンルに分かれ、映像を志した人の中でも、限られた人しか生き残ることができない厳しい業界構図で成り立っていました。
30秒を作り込むために、昼夜問わず働いて数ヶ月かかる世界。映像制作者として生き残っていくためには、文字通り人生をかけて取り組む必要がありました。
近年、パソコンはもちろん、スマホや映像を放映する媒体に「WEB」が登場したこと。そして機材の安価化を背景に「誰もが映像を撮影し、編集」できることにより、映像制作が簡単に見えてしまっているように思います。
そして、同時に「自称」映像制作者が急増したのではないかと感じています。
クオリティとは何か?
映像制作においてもっとも重要な項目は「クオリティ」とは何でしょうか?
制作費用が発生する以上、個人で楽しむようなレベルの動画ではなく、誰かに何かの情報を発信し、しっかりと伝える必要があります。
私が考える「クオリティ」で重要なチェック項目は以下です。
1.内容・企画構成力:視聴者が”動画”(音・映像)を通じて情報を理解できるか?
映像制作において最も重要なことは、「伝えるべき情報が動画を通して的確に伝わっているか?」です。
内容決定に対する注意点はいくつかありますが、代表例としては以下です。
- 商品やサービスなどの「品質」・「価格帯」
- 視聴対象者に適した「トーン」・「マナー」か。
- 最も伝えたい項目が伝わっているか
- オリジナルとして成立しているか
これらが最低条件として、プロジェクトに応じて更に伝えるべきこと・ゴールが追加されていくイメージです。
2.技術・センス・技術力:内容を伝えるために適切なスキルがあるか?
前述1の「内容」を適切に伝えるためには映像制作のスキルが必要です。撮影はもちろん、編集に至るまで多くのスキルが伴っているか?となります。
恐らく近年の相談案件で最も問題になっている部分がこの「スキル」の部分です。企画書は万全。でも蓋を開けてみると全然クオリティが低い。という事例が増えています。
高品質な動画が撮影できるDSLR(デジタル一眼)の登場から、様々な機材が安価化・小型化し、誰もが一定レベルの機材を手に入れることができます。確かに最低限の機材品質も重要ですが、スキルやセンスの方が大切かもしれません。
本当にスキル・センスがあるクリエイターはiPhone一つでも、スキルやセンスによって最高なクオリティを引き出すことが出来ます。
(法人の場合、技術スキルに拘った会社の場合、所持機材も自然とワンランク上の物を所持していることも多いです。)
クオリティ問題における引き継ぎについて
ここからは、弊社に引き継ぎの話を頂いた際に、紹介している内容です。
弊社では、引き継ぎのお話を頂いた際、以下の例をお話しています。
動画制作における撮影=料理における素材収集・管理
動画制作における編集=料理におけるシェフ
基本的に仮編集終了段階で「これは・・・」と気付いてお話を頂くのですが、その時点では時すでに遅し。ほぼ手遅れであることが多いです。
料理がそうであるように、素材が腐ってしまっていると、どんな一流シェフでもお店としてお客様に提供できる料理として料理することは出来ません。
さいごに。契約書締結や制作実績確認の必要性
ご相談頂いたクオリティ問題に対し、可能な限りお手伝いさせて頂いておりますが、このお「クオリティ問題」は誰も得をしません。クライアント様はもちろん、前の制作者も弊社も、全ての人が拘束時間・金銭の面で損をする構図です。
もちろん結果を残すことの出来なかった前制作者も辛いと思います。
クオリティ面での問題を避けるためには、
- 構成内容や技術クオリティに言及した契約書の締結
- (会社ではなく、担当者の)過去実績の確認
を最低限行うことを推奨しています。
「契約書の締結」は何かのトラブル時に、効力を発揮し、「過去実績の確認」は非常にわかりやすいスキル判断材料となります。
過去実績では、「どのポジションで関わっていたか」「プロジェクトの規模感」を中心にした確認をオススメします。最大制作費が数百万円のクリエイターと、数億のクリエイターでは所属していた制作環境のレベルが大きく異なります。
今回は昨今のご相談増加を受け、いつもと違う視点で記事を発信させて頂きました。
動画制作でより良い結果が出る環境を、真剣に願っています。
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